世界が注目する"インダストリー 4.0"とは?
ハノーバー・メッセ2016 視察団レポート

2016年4月25日から4月29日までの5日間、ドイツのハノーバーで、国際的な産業技術の見本市『ハノーバー・メッセ』が開催されました。伊東商会は、グローバル市場の動向へキャッチアップするため、現地へ視察団を派遣。メンバーが目にした世界規模のイベントの様子をレポートします。

歴史あるドイツの産業技術の見本市『ハノーバー・メッセ』

1947年から開催されている『ハノーバー・メッセ』は、毎年100カ国以上から6,000社以上もの企業が出展、来場者も20万人を超える世界最大規模の産業見本市です。

伊東商会はこのイベントに2015年から視察団を派遣しています。視察の目的は主に3つ。1つ目は、グローバル化が進む市場のトレンドを肌で感じ、最先端の産業技術の動向を知ること。2つ目は、お客様や仕入れメーカーの皆様へ、現地に足を運ばないと知り得ない"一次情報"を収集し、発信すること。3つ目が、最新の製品にアンテナを張ると同時に、新しい仕入れ先やパートナー企業のネットワークを築くことです。

伊東商会はこのようなイベントへの参加も、商社としての重要な業務であると認識し、イベント会場でも積極的な情報収集を行いました。

ハノーバー・メッセのテーマ"インダストリー4.0"とは?

ハノーバー・メッセが掲げている大きなテーマが、"インダストリー4.0"です。和訳すると"第四次産業革命"というこの取り組みは、産業用機器をオープンネットワークで連携させることで、生産性を飛躍的に向上させることを目指すというもの。ドイツ政府が国を上げて取り組むプロジェクトでもあり、現在、世界中から大きな注目を集めています。

インダストリー 4.0を推し進める企業の多くは、稼働するパーツの一つひとつをインターネットに接続(IoT / Internet of Things)し、ネットワークを通して連携する"ロボット"や、パーツ同士を結びつける"ソフトウェア"開発に力を入れています。今年のハノーバー・メッセでも、ロボットとソフトウェアに着目した企業が目立ちました。数ある企業ブースの中から、視察団が注目したものをご紹介します。

ロボット編 人への安全性を何よりも重視したロボット

センサやコントローラなどのオートメーション技術メーカーであるPilz社は、"The spirit of safety"を指針に、「技術的な安全・環境への安全・人への安全・経済的安全」という4つの安全を提示しています。注目を集めていたのは "人の安全"にフォーカスを当てたロボットです。

ブース内では、ロボットを厳重な柵で囲み「いかに早く動作させるか」を重視するのではなく、安全柵を取り除き、人が一定距離内に近づくと稼働スピードが遅くなるシステムが実演されていました(写真)。効率性よりもむしろ「安全性」を第一に考えてロボットを開発している点が、同社のコンセプトを他の企業のそれと明確に分けているようで印象に残りました。

大学研究機関と連携、
ロボットの操作用アプリケーションを開発KUKA社

ドイツが誇るロボットメーカーであるKUKA社。会場でデモ機として使われているロボットは、多くが同社製のものです。展示ブースでは、自社が行っている"KUKAイノベーションアワード"のプレゼンテーションを行っていました。コンテストの内容は「KUKA社から提供されたロボットと資金を使い、大学の研究機関が、ロボットを操作し、"未来に向けた"アプリケーションを開発する」というもの。当日は、予備審査を通過したファイナリストの6大学が開発したアプリケーションのデモが行われていました。

写真は、ドイツのアーヘン工科大学が研究している"家を建てるロボット"です。ロボットの説明をしていた若手研究者が「10年後になるかもしれないが、きっとこの技術が役に立って、建設業界でもロボット活用が進んでいるはず」と、目を輝かせて語っていた様子が印象的でした。企業と大学の研究室が手を組んで、新しい価値を生み出そうとしている勢いを感じました。

"IoT"各社の取り組み編 世界中へオープンフィールドネットワーク
"EtherCAT"を提供 BECKHOFF社

BECKHOFF社は産業用PCをベースに、I/O機器や、サーボモータなどのドライブ機器まで提供するドイツのメーカーです。現在は、自社が開発した"EtherCAT"をはじめとするオープンフィールドネットワーク上での産業用システム構築を推進しています。世界の産業界ではオープンネットワーク化が早急に進められており、今回のハノーバー・メッセの展示でも、ほとんどの機器メーカーでEtherCATネットワークに接続可能な展示がなされていました。

同社は2014年度から2015年度の一年間で22%の売上成長率を記録しており、これは産業機器同士を接続するオープンなフィールドネットワークの需要拡大を示しているのかもしれません。

世界規模で工場の生産工程を最適化するクラウドシステム
Siemens AG社

ホスト企業を務める世界最大級の電機メーカーSiemens AG社は、"Siemensが世界の工場をつなぐ"をコンセプトに最大規模のブースを展開。各種製造装置や生産工場からの情報を集積・解析し、作業最適化のためのフィードバックを行うクラウドシステム"Mind Sphere"を紹介していました(写真は"Mind Sphere"の機能をイメージした展示)。

将来的にはマザー工場の持つ技術を世界中で展開できるようにするとのこと。グローバル企業ならではのスケールの大きさが多くの人の目を引いていました。日本国内でも、鉄工や製紙会社、大手の化学会社に適応できるかもしれません。

商社が"世界最先端の情報に触れる"ことの重要性

これから先、企業の存在価値はその"情報発信力"に大きく左右されることになるはずです。さまざまな企業・業界を結びつける私たち商社は、とりわけそのような発信力に磨きをかける必要があります。今回ハノーバー・メッセで世界最先端の刺激的な情報に触れ、私たちがサービスを提供する業界で何が起きようとしているのかを肌で感じました。そこで私たちが得たものを今後どんどん発信していけたらと思います

伊東商会は、今回のハノーバー・メッセで得た知識と経験を踏まえ、お客様に対して今までにない魅力的な価値提案と刺激的な情報発信ができるよう努めてまいります。