熱として捨てられていたエネルギーを有効活用し、大幅な省エネ効果を実現
ピーク電力のカットで、ランニングコストを削減
災害時や瞬停時にも、簡易的なUPSとして対応できる
搬送システムに使用する各種モータで取引きのある伊東商会に相談してみたところ、「それでしたら、搬送システム自体で発電できるようにしてしまいましょう」という提案を受け、M氏は解決の糸口を見出します。
M氏と一緒に自動車部品メーカーの工場に訪れた伊東商会の担当者は、工場内ではなく、隣接した倉庫内に着目し、更なる省エネの可能性を見出します。
「倉庫内の垂直搬送システムは、そろそろリプレースのタイミングだと思います。ここに回生エネルギーを利用できる垂直搬送システムを提案するのはいかがでしょうか」(伊東商会担当者)
工場以外での省エネ対策アイデアに驚きつつも、M氏は詳しく説明を受けることにします。
「そもそもモータは発電しているんです。今までは、そのエネルギーは熱として捨てられていましたが、有効活用することで大幅な省エネ効果が見込めます」(伊東商会担当者)
垂直搬送システムの下降運転時に発生するモータの回生エネルギーを蓄電デバイスに蓄え、上昇運転時に電力をアシスト。これを繰り返すことで、消費電力の大幅削減が可能になるとのことでした。
回生エネルギー有効活用のメリットは、省エネだけではありませんでした。
垂直搬送機が上昇する瞬間のピーク電力をカットすることで、設備電源容量、契約電力を大幅に低減することができ、ランニングコストの削減に貢献できるとのこと。
さらに、一時的に電力を蓄えておくことができるため、急な災害時や電力不足による瞬停時に簡易的なUPS機能を持たせることができるメリットもありました。
一石二鳥以上の効果が見込める提案に自動車部品メーカーも満足し、無事に導入が決定。数ヵ月後、回生エネルギーの再利用によって、倉庫内の消費電力量を20%以上削減することに成功していると報告がありました。
「工場以外に目を付けて最適な提案をしてくれた伊東商会さんの発想には驚きました。おかげさまで、エンドユーザー様からの評価も高く、電力事情の不安定なアジアの工場でもサポートしてほしいという依頼を受けることができました」
海外サポートの経験があまりないM氏でしたが、海外サポートも充実している伊東商会に引き続き相談してみようと、準備を進めています。