人物のご紹介
新規開発や設計業務の効率化に携わっており、社内でAutomation Studio™のご導入を推進してくださいました。
船舶向けの油圧システムの設計の業務に携わっており、社内でAutomation Studio™をメインでご活用いただいております。
弊社営業部にて、中北製作所様へソリューションのご提案をしております。
弊社技術部にて、中北製作所様へのソリューションのご提案にあたりテクニカルサポートを行っています。
株式会社中北製作所様(以降、中北製作所様)は、船舶やプラント向けの高性能バルブ・流体制御機器を製造する創業90年以上の老舗メーカーです。
同社では、高度な技術の継承や技術者不足への対応、さらには新規の油圧・電気回路システム開発における業務の属人化を解消するニーズが高まっていました。
そこで、中北製作所様にはシステム全体のシミュレーションと設計データの収集・共有を同時に実現できるツールとして、油圧・電気・空気圧回路設計およびシミュレーションソフトウェア「Automation Studio™」をご導入いただいております。
今回はAutomation Studio™の導入を主導くださった有岡様と石川様に、導入の決め手、活用方法と効果、今後の活用について伺いました。
新規開発や設計業務の効率化に携わっており、社内でAutomation Studio™のご導入を推進してくださいました。
船舶向けの油圧システムの設計の業務に携わっており、社内でAutomation Studio™をメインでご活用いただいております。
弊社営業部にて、中北製作所様へソリューションのご提案をしております。
弊社技術部にて、中北製作所様へのソリューションのご提案にあたりテクニカルサポートを行っています。
-プログラミングが不要なソフトウェアだから既存の担当業務と兼務できる-
Automation Studio™を初めて知った際、このソフトウェアであれば複雑な計算式やプログラムを組むことなくシミュレーションできるので、専任者を立てずとも使用していくことができると考えました。
開発部門であればプログラムを1から構築することも可能ですが、装置設計課においては現状の業務にプラスしてプログラムから組んでいくことはリソース的に難しいです。
また工学基礎の知識がなくとも、用意されているコンポーネントを取り出せば既に効率曲線が入っており、機器の特性を視覚的に把握することができます。
ここまでの操作性の高さがあるならば、既存の担当業務とAutomation Studio™の活用業務を兼務していけるだろうと判断し、導入を推進することに決めました。
Automation Studio™上でポンプの効率曲線を確認・編集できる画面
部署ごとの課題やリソースを一番把握していらっしゃる有岡様が社内での推進者となってくださったことが、大変嬉しく心強かったです。ご導入を本格的に検討いただくにあたりトライアル(※1)で石川様に操作性を体験いただく運びとなりましたが、石川様はAutomation Studio™に対してどのようなご感想をもたれましたか。
※1 導入に向けた稟議資料の作成のため、30日間トライアルでAutomation Studio™をご利用いただきました。
-油圧・空気圧・電気を組み合わせることができる-
トライアルで初めてAutomation Studio™に触った時に、これは面白い!楽しい!と感じ、使いやすく回路のイメージもしやすいという印象を持ちました。また自分自身が油圧のシステムに携わる前は電気の制御盤の設計をしていたこともあり、油圧や空気圧の単体ではなく電気と組み合わせることができる点も魅力的だと感じました。
-油圧教育の取っ掛かりや回路の検証での活用に期待をもった-
トライアル前はどこまで細かくシミュレーションできるかという期待や不安もありましたが、実際に回路設計をしてシミュレーションをしてみると、自分が思っていたとおりに、実機の挙動と同じように回路が動いてくれるところを見ることができました。
トライアル当時からAutomation Studio™は油圧教育の取っ掛かりにもなり、突き詰めていけば回路の不具合の当たりをつけることや検証にも使うことができるだろうという感触がありました。社内の他の人にも広く使ってもらえるだろうと感じ、導入に向けて稟議に向けた社内資料を作成しました。ちょうどよい時期に新規開発の案件があったので、それと関連付けられたことも良かったと思います。
-全体的なシステムを俯瞰してみたいというニーズに合致した-
現在社内で主に使用している2D CADはあくまでお絵描きなので、それ自体にそれぞれの機器のデータが入っているという訳ではありません。その点で、Automation Studio™ではライブラリやメーカーカタログ(※2)から機器を取り出して容易に設計して更にシミュレーションができるという点が魅力的で、過去の系統図(※3)を参考に新しく作成するときにも設計スピードが向上すると考えました。装置設計課では回路内の非常に専門的な流体解析を行うというよりは全体的な油圧システムを俯瞰してみたいというニーズがあり、回路設計の補助的ツールとしてAutomation Studio™が合うと考えました。
※2 ライブラリはISO規格に準拠した油圧・空圧・電気の回路記号が格納されており、設計者はそれをドラッグ&ドロップで回路図に組み込むことができる機能です。またメーカーカタログは各油圧・電気・空気圧機器メーカーのコンポーネントをデータと共に回路図上に組み込むことのできる機能を指します。
※3 油圧の配管や電気配線など含めたシステム全体の図のことを系統図と呼んでいます。
-より分かりやすい資料をかんたんに!技術資料の作成工数をおよそ半分に削減!-
1つは技術資料の作成と共有です。設計した油圧システムについて社内外の関係者に説明するときにAutomation Studio™で作成した動画を使用しています。導入以前は社内の調達部門、サプライヤー、造船所の方にわかりやすく説明するために回路図を切り貼りして漫画チックな資料を都度作成していましたが、Automation Studio™で回路図を書いてシミュレーションを行い、その動画を共有することでより分かりやすい資料をおよそ半分の時間で作成することができるようになりました。また圧力や流量の変化を示すことも容易です。
-新規システムの検証において不安を解消し、アクチュエータの動きを感覚的に把握できる-
2つ目が新規の系統図の検証です。既存の系統図であれば過去の実績があるため信頼でき、実機にしてからマイナートラブルが発生した場合の対応策も準備があります。しかし、新規の場合は実機に搭載してからシステムを検証したとしても対応しきれない部分があるので、Automation Studio™上で事前に検証するようにしています。実機にする前に懸念点を解消して、システムに問題がないか確認することができるので安心感があります。また大きい船では全長300mを超え、配管の長さも延べ数100mになることもあり、実際の長さの配管を準備して検証することは難しいです。計算で速度や圧力損失、圧縮を計算することもできますが、アクチュエータの動くタイミングや速度を感覚的に把握できるのは大きいと感じています。
石川様が作成した系統図を検証するシミュレーションの動画
-これから油圧を学ぶにも最適!設計・検証業務の平準化にも貢献!-
3つ目が技術者の育成です。社内でこうした油圧回路やシステムの設計・検証ができる人材は少なくなってきており、新しい技術者を育てていかなくてはならない状況です。Automation Studio™では視覚的に油圧回路の動きを把握することができるので、これから油圧について学ぶ人にとっても理解しやすいと感じています。また、担当している造船所ごとの特殊仕様など、設計や検証に関するノウハウが属人化している側面もあります。人数が限られているなかで、ノウハウを共有して技術者が相互に協力して進めていかなくてはならないというニーズもありました。どの担当であっても同じクオリティで設計・検証できるのが理想で、業務を平準化していくことを目指しています。
幅広い業務領域でAutomation Studio™をご活用いただきありがとうございます。油圧回路や、それを含むシステム全体を検証する際には、すべての配管に対して全長、内径、曲げの種類など、細かなパラメータを一つひとつ入力する必要があり、大変な作業になるかと思います。そのような中で、最も厳しい条件が想定される回路部分に絞って詳細なパラメータを入力し、それ以外の部分には Automation Studio™ にあらかじめ設定されているコンポーネントのパラメータをうまく活用されていた点が、とても印象的でした。限られた時間の中で、精度と効率の両立を実現されている姿勢は、シミュレーションを活用する上での理想的なアプローチの1つであり、大変参考になりました。
Automation Studio™上で配管の材質・長さ・内径を設定する画面
-導入前には挙がっていなかった活用アイデアへの広がりも-
社内稟議の際に掲げた活用についてまだ実践できていない部分もあるため、引き続き実践して効果を示し続けていきたいです。
また稟議の際には挙がっていなかった活用アイデアも出てきています。例として、受注した新規開発の製品について作成する取扱説明書や要領書とAutomation Studio™のシミュレーション動画を連携させて、お客様へ製品説明を行うことができると考えています。
-マニホールドブロックの設計工数の削減や取引先への新規提案のエビデンスにも活用していきたい-
今後はさらに業務の幅広い領域でAutomation Studio™の活用を進めると共に、社内の別の設計者や別の部署での活用を広めていきたいと考えています。
例えば、新規開発にあたりテーマとなるよりコンパクトな多連のマニホールドブロックの設計です。現在は2Dで設計を行っていますが、Automation Studio™のマニホールドブロックの自動生成機能や3D設計の機能を用いればかなりの工数を削減できます。この点はトライアルの際に検証しており、配管の接続やクリアランスの確認が容易なため、設計ミスの削減と作業スピードの向上に繋がると実感しました。また電動化や新しい燃料を用いた新規開発の機運の中で、弊社の知見から造船所の方へ新たな提案をする場面も増えてきました。その中で提案時にAutomation Studio™によるシミュレーション動画や結果を併せて提示することで、より信憑性や具体性のある提案ができると考えています。
更に設計部門以外でも品質保証の部門において、トラブルシューティング機能を用いてトラブルが起きたときの回路の挙動を事前にシミュレーションしておくことや、トラブルが起きたときにその原因を炙り出すこともできると推測しています。
石川様がトライアル時に作成した多連マニホールドブロックの3Dモデル
ご導入から約1年、これまでのご活用の積み重ねを拝見しながら、改めて貴社の成功に貢献できるよう、引き続きサポートさせていただきたいと感じております。今後も、弊社テクニカルサポートの小野木をはじめとするメンバーと共に、貴社のありたい姿の実現に向けて伴走させていただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
最後までご覧いただきありがとうございます。
弊社では油圧・電気・空気圧の回路設計とシミュレーションのソフトウェア「Automation Studio™」のご紹介とご導入のサポートをさせて頂いております。
関連資料のダウンロードやご導入に関するご相談など、お気軽にお問い合わせください。
(撮影・取材・編集 / 梶原)